こんにちは、松本千嶂です。
今日は「行書の書法」について記します。
行書は、楷書と草書の中間の書体です。「楷書は立つが如く、行書は行くが如く、草書は走るが如し」と言われています。楷書の不動に対し、行書は動きのある筆致がその特徴で、のびのびとした柔らかみのある、運筆が連なった書体です。
先ず、起筆(書き始め)は楷書のようにがっちりと堅くせず、穏やかに柔かみをもたせて筆を入れ、曲折(曲がり角)も角ばらずにゆるやかに折り曲げ、終筆(書き終わり)も楷書のようにしっかり止めず、軽く押える程度にします。磔(たく)も柔らかみを持たせて筆を抜き、趯(てき)も鈍角に広々とはね出すようにします(2020-11-19の記事参照)。
(楷書)
(行書)
(楷書)
(行書)
(楷書)
(行書)
(楷書)
(行書)
〇筆脈
筆脈とは、線の連なりをいい、次の画へつながる細い線がそれです。しかし、必ずしも線の連なりだけではなく、目に見えない気持ちの連なりのこともいい、これを「気脈」といったりします。少なくとも一字の途中で墨をついだり、穂先を直したりして筆脈・気脈が途切れることのないようにしなければなりません。
〇行書の手本
<蘭亭序(らんていのじょ)>
行書の手本として第一に挙げられるのが王羲之(王右軍)の「蘭亭序」です。「蘭亭叙(らんていじょ)」としているものもあります。王羲之一生の会心の作とされ、神品とされてます。原本は不明で、今日伝わっているものは、唐代の大家による臨書(手本を見ながら書くこと)で、その臨書の臨書も含めると相当な数になり、三百蘭亭などと呼ばれています。欧陽詢(おうようじゅん)の臨書とされる「定武本(ていぶぼん)」、褚遂良(ちょすいりょう)の臨書とされる「神竜半印本(しんりゅうはんいんぼん)」、虞世南(ぐせいなん)の臨書とされる「張金界奴本(ちょうきんかいどぼん)」などが有名です。
<集字聖教序(しゅうじしょうぎょうじょ)>
弘福寺の僧、懐仁(えにん、かいじん)が、王羲之の真蹟行書から一字ずつ集字し、書したものを石刻したものといわれています。「集王聖教序」ともいいます。
<風信帖(ふうしんじょう)>
空海(くうかい:弘法大師)の書です。最澄に宛てた手紙で、巻首に「風神雲書」の語があることからその名が付いています。
<伊都内親王願文(いとないしんのうがんもん)>
橘逸勢(たちばなはやなり)の書と言われていますが、確証はないそうです。桓武天皇の第八皇女、伊都内親王が山階寺(興福寺)に墾田等を寄進された時の願文。
以上、簡単ですが行書について書きました。
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